商品説明
内容
本書でいう「お迎え」とは、臨終において仏が、あの世から出迎えにくる、「ご来迎」という意味をさしている。平安時代には
1052年から末法の時代に入るという考えが広まっており、死と隣り合わせのすさんだ現実に、人々は不安を搔き立てられた。
大地震や台風、疫病、戦など混乱が度重なったことを受け、人々は極楽に救いを求める。極楽浄土を模した平等院などの寺が建てられ、
来迎図が描かれるなど、次第に極楽浄土に往生できるという浄土教が広く信仰され、人々は心の安寧を得られるようになった。
しかし、近代以降の日本は、科学の発展や西洋文化の浸透により、浄土教への信仰心や信頼感が揺らいでいった。現代を生きる
私たちは、死んでもお迎えはこない、お迎えの思想は信じない、という現実的な認識になっているのではないだろうか?
本書では、お迎えの信仰の起源から衰退した経緯、他宗教との死後の世界の違いを考察していく。
「お迎え」を説明するには切っても切り離せない、「死」という重たいテーマをも調和させる著者ならではのユーモアを交えた
文章が特徴的。極楽浄土への行き方を、「仏さまが出迎えてくださる」という視点で解説する浄土教入門書。
プロローグ ある禅者の臨終
第一章「考えるな!」
第二章 浄土の誕生
第三章 浄土の存在意義
第四章 極楽浄土の本質
第五章 浄土への往き方
発刊に寄せて
著者紹介
ひろさちや
1936年(昭和11年)-2022年(令和4年)。大阪市に生まれる。東京大学文学部印度哲学科卒業、東京大学大学院人文科学
研究科印度哲学専攻博士課程修了。1965年から20年間、気象大学校教授をつとめる。退職後、仏教をはじめとする宗教の
解説書から、仏教的な生き方を綴るエッセイまで幅広く執筆するとともに、全国各地で講演活動を行う。厖大かつ多様で
難解な仏教の教えを、逆説やユーモアを駆使して表現される筆致や語り口は、年齢・性別を超えて好評を博する。おもな
著書に『仏教の歴史(全10巻)』『釈迦』『仏陀』『大乗仏教の真実』(以上春秋社)、『お念仏とは何か』『禅がわかる本』
(以上新潮選書)、『のんびりゆったりほどほどに』『生き方、ちょっと変えてみよう』『〈法華経〉の世界』『『法華経』
日本語訳』『〈法華経〉の真実』『坐らぬ禅』『〈ゴータマ〉の大予言』(以上佼成出版社)などがある。
備考