内容
1945年８月、日本の敗戦により、それまで日本の植民地だった朝鮮に暮らす日本人は、突然「外地」に取り残された状態になりました。
11歳のれい子と家族は、朝鮮半島を二分した〈三十八度線〉の北側の港町・鎮南浦で、厳しい冬を迎えます。
寒さと食料不足、ソ連兵による略奪、北朝鮮の建国の混乱の中、母と６人の子どもたちが生き抜き、日本へ帰り着くまでを描いた、奇跡の実話です。


【編集者コメント】
日本統治下の朝鮮での日本人が、敗戦によってどのような状況に置かれたかが分かる、貴重な記録です。
混乱の中でも、人情厚く助けてくれた朝鮮の人たちの存在や、隣り合って住んだソ連軍大尉との交流など、
少女の目を通して当時の暮らしが生き生きと描かれています。


目次
第一章　藍湖は今（一九四五年十月初め）
１　脱出だ！
２　どうして脱出はだめ？
３　キムおじさんが捕まる？
４　裏切られた！

第二章　キムおじさん（一九四五年十一月末）
１　天井から黒足袋！
２　真夜中に誰？
３　にせパパ？

第三章　オコリーさんの影（一九四五年十二月末）
１　大尉の引っ越し
２　金びょうぶがあそこに！
３　また落っこちて！
４　再会
５　房子ははしか？
６　初めてのクリスマスプレゼント
７　オコリーさんって？

第四章　ピルヒのオンマ（一九四六年三月末）
１　住む家がない！
２　また引っ越し！
３　リーシュンのまり
４　どうしてごはんを残すの？
５　保安隊の巡回
６　キムおじさんの決意
７　赤いまりがない！
８　リーシュンの家へ

第五章　脱出まで（一九四六年五月～十月）
１　第一陣に加われず！
２　第二陣も置き去りに
３　ついに出発！
４　三十八度線
５　倉敷へ！




著者紹介
遠藤　みえ子(えんどう　みえこ)
釜山生まれ。６歳で倉敷へ引き揚げる。
東京女子大学英米文学科卒。
吉祥女子高校、都立高校で計３３年間、恵泉女学園短大、東京女子大学で計１７年間、非常勤講師として勤務。
『スージーさんとテケテンテン』で、小川未明文学賞優秀賞を受賞。
日本児童文学者協会会員。
日本こどもの本研究会会員。